libra05's blog

映画を中心に、好きなものについて自由気ままに書いています

《試写会》映画 聖の青春--病と闘いながら全力で駆け抜けた、わずか29年の生涯。

「ひじりの…」と読んでいたあの頃にはもう戻れない。

ということで、公開よりも一足先に『聖の青春』を試写会で鑑賞してまいりました。

棋士の映画だと知っだ上でも「ひじり」と読んでしまうくらい、将棋には詳しくありません。棋士は今でも、羽生さんしかわかりません…。
でも、将棋のルール説明もうまいことセリフなどに織り交ぜてありましたし、「将棋」のもつ奥深い世界を覗くことができる作品でした。
さっそく感想を書いていきたいと思います!

作品紹介

satoshi-movie.jp

  • 劇場公開年 2016年/日本 
  • 124分 

秋〜冬の街並み(そして聖のぱつぱつのトレンチコート姿)が印象的。まさにこの季節にぴったりの作品です。

あらすじ

 幼い頃に難病のネフローゼ症候群*1を患い、入退院を繰り返した村山聖
入院中に父から勧められた将棋に心奪われ、将棋の最高位・名人の獲得を夢見るようになる。やがて、後に親子同然の強い絆で結ばれていくことになる師匠・森信雄に弟子入りすると、すぐに頭角を現わし、異例のスピードでプロデビューを果たす。
その後、同世代の天才・羽生善治に強烈なライバル心を燃やす聖は、彼の体調を心配する家族や仲間の反対を押し切り、拠点を大阪から東京へ移し、“打倒、羽生”と“名人獲得”という目標に向かってなりふり構わず突き進むのだったが…。

映画 聖の青春 - allcinemaより引用>

こんな方におすすめ

将棋に詳しくなくても十分鑑賞できますが、将棋に詳しければ、きっと、より、聖たちの指し手から、彼らの覚悟や想い、勝負にかける熱量をもっともっと感じられるのでしょうね。
それはとても羨ましいことです。

ちなみに、対局の中継を見ている仲間たちのリアクションからも、それを感じることはできます。ということで、将棋に詳しくなくても心配は不要です。

感想

以下、劇中の仲間と同様に親しみを込めて「聖」、聖もそう呼んでいたので「羽生さん」と書いていきます。

村山聖というひと
将棋界ので”怪童”村山聖が将棋に出会えたのは、幼少期の入院中に父親が暇つぶしに差し入れてくれたからでした。

病がなければ将棋をやっていなかった・・・でも、病があるから将棋を打てなくなるかもしれない。そんな人生の不思議を、聖は、静かに静かに胸に抱き、自分の一部にしているように見えました。だからずっと、どこか達観している雰囲気があるのはそのためなんでしょうね。


聖は病の状況が悪くなっても、ただただ、「羽生さんに勝たなきゃ意味がない!」「いま戦わなきゃだめだ!」と(脳に影響があるといけない、との警戒から)断固として治療を拒否し、対局を続けます。
羽生さんから何度か勝利をもぎ取るも、体はすでにボロボロ。


将棋に出会う前の幼い頃からずっと病と闘っていたため、聖は十分、自分の体のことをわかっていたと思います。

それでも、たとえ死ぬことになっても、将棋の1番になりたかったんですね。
1番になりたい!1番じゃなきゃ意味がない! と大声を出すとき、そのために命をかけている気迫がびしびしと伝わってきました。

そして、いくらそう思っていても、そんなことを大声で言える人はあまりいないですよね。


聖は、まるで子どものように駄々をこねたり、拗ねたり、意地を張ったりします。(作品の限りでは、かなりの変わり者ですし)
でも、きつい言葉を誰かに浴びせていても、ヤケになってたり、卑屈になっているようには見えませんでした。

無垢で、ちょっと柔らかくて、繊細で壊れそうな雰囲気が漂っているんです。

きっと彼には周囲の人を惹きつける天性の部分があったんですね。だからこそ、彼を応援し支えてくれる仲間があんなにいたんだと思います。


松山ケンイチ
松山ケンイチはそんな彼を見事にトレースしています。聖に惚れ込んだことがよくわかる、このような記事が多くありました。
www.cinemacafe.net
そうそう。作品の存在をまだ知らない時は、「いつの間にかふっくらしてる!」とびっくりしたものです。

記事では、渾身の役作りで聖になりきっていた松山ケンイチに会ったときの原作者の感想も書いてあります。

私も酔っぱらっていれば昔のように頬っぺたを軽くつまんでいただろう。・・・・・・17年ぶりに村山くんがいた。

実際に縁の深かった人にここまで言わしめるとはすごい!


ヒロイン・羽生さん
また、劇中の羽生さんについて、この記事も要チェックです。
www.cinematoday.jp

羽生本人に会い、彼が使っていたメガネを譲り受けて演技に挑んだ東出は、対局中に頭をかいたり、メガネに触れたりする羽生のクセを完璧に再現した。<上記記事より>

使われていたのは羽生さんの眼鏡だったのです!! まさに”隅々まで行き届いた”作品全面協力!!

お互いがいたからこそ切磋琢磨して、誰にも行けない思考の領域に挑戦できた、ということは、羽生さんにとってもかけがえのない経験だったのだとよくわかります。
(二人が対局後に小料理屋さん?でその話をするワンシーンは、とても素敵なのです。)

作品では、聖から羽生さんへの尊敬、憧れが可愛く描かれていたりします。上記記事のとおり、羽生さんはヒロインでしたね。

また、作品関連記事を読むと、役柄同様に、俳優同士も互いを尊敬し、刺激し合っていたことがわかります。


手に汗握る対局シーン
二人が対局するシーンは、将棋に明るくない私でも、「一つでも指し手を間違えたら終わり」という張り詰めた空気にどんどん飲み込まれていきました。気づけば両手(そして全身)に汗が・・・! そしてその姿のかっこいいこと!

まるで命をかけた決闘のようで、銃を構えて対峙する西部劇のシーンよりも、よっぽど緊張した気がします。



個人的にすこし気になった部分もありました
・作品の途中まで、治療を拒否する理由の説明がなく、「めんどくさいから?」などと勘違いしてしまった
・”全てが決まる一瞬”を表現する(?)ためだったとは思うが、対局中にスローモーションで街中の様子が流れるところが間延びしていた
・病院の先生が聖の母親に吐く言葉がひどい(なんで?!)

が、ラストまで、とても楽しく鑑賞できた作品でした。
命が尽きるまでの彼の全力疾走から受けたパワーは強く、鑑賞後の余韻がまだ続いております。


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*1:(※)ネフローゼ: 腎臓の濾過機能の異常で、蛋白が尿へ排出し、血液中の蛋白濃度が減少することにより浸透圧のバランスが崩れ、水分が血管から組織へ漏れ出し、顔や手足がむくむ病気。
蛋白質が不足すると、身体を守る免疫細胞の供給が減少し、抵抗力が低下し、発熱しやすくなる。治療が遅れると肺水腫で呼吸困難に陥り死亡することがある。原因はいまだ解明されていない。
ステロイドの投与で治癒・軽快することが多いが、治療抵抗性のネフローゼ症候群は難病に指定されている。
29年の生涯|映画『聖の青春』2016年秋全国ロードショーより引用>