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libra05's blog

映画を中心に、好きなものについて自由気ままに書いています

映画「64 ロクヨン 前編」の感想(と簡単なあらすじ)

映画:ミステリー

64-movie.jp
「犯人はまだ、昭和にいる。」

作品について書く前にー邦画は食わず嫌い

みなさんは洋画と邦画のどちらか好きですか?

私は、幼少期を除いて、スクリーンやDVDで観た作品の95%が洋画です。洋画が好きです。邦画はほとんど観ないんです。

振り返れば、邦画に対してはずっと食わず嫌いの状態でした。
はっきりと嫌いと言えるほどの数は観ていません。入り口の段階で観るのを止めてしまうんです。

というのも、邦画で、自分の日常生活の延長が作品の舞台になっていればいるほど、「劇中の世界に入り込んで、ここじゃないどこかにぶっ飛んでいく時間を過ごしたい」という欲求が満たされなくなってしまうんですよね。

「こんなの現実でありえないじゃん」という鬱屈した斜めからの鑑賞になってしまうのです。現実でありえないことだから映画作品になっているのに、もうその基本が受け入れられなくなってしまう。

そんな自分が、宮部みゆきが好きがゆえの複雑な感情で思い切って鑑賞したのが『ソロモンの偽証』でした。
www.shinchosha.co.jp

結局、この鑑賞は悲しい結果に終わりました。
途中から劇中の展開を「あーはいはい」なモードで鑑賞してしまい、結末まで座ってるのも辛かった……。自分でもせっかくなら楽しめばいいのに、と思ってしまうのですが、観終わった後の素直な感想は、「だから何?」。
鑑賞中は非現実に飛びきれず淡々とずっと続いていくように感じ、心が氷のように完全に冷え切ってしまいました。

私の好みではなかったんですよね。
だからこそ、文庫で読んだ原作も途中でだれてしまったんですが、ここまで読んだのだし、と意地で最後まで読みました。この読書体験もあまりいい思い出ではありません。
そして、何だかそのままで終わるのが悔しくて、映画に行きました。
自分の素直な感覚を信じて、本当に、そのまま映画を観るのもやめておけばよかった。言葉が通じる場所が舞台で、自分の日常になんとなく近く感じてしまう邦画への苦手意識は一段と高まってしまいました。

なので、原作も面白かったし、おすすめだから一緒に行こう、と自信を持って誘ってもらっていなければ、「64」を劇場で観ることはなかったと思います。

結果的には、お手洗いに行きたいのも我慢してスクリーンに釘付けになってしまいました。

ほんの少し席を立つのも惜しいほど、とても面白かったのです!

さっとあらすじ

昭和64年に起きた誘拐殺人事件、通称「64(ロクヨン)」。事件は未解決のまま時は過ぎ、刑事だった主人公は現場から離れ、広報官として勤務についていた。
しかし、事件には極秘に隠蔽され続けていた新事実があった。その手がかりをつかんだ主人公は、当時の仲間たちとともに「64」の呪縛から解き放たれるべく、真相を追うために奔走する。

感想(ネタばれあります)

際立つかっこよさ!

作品全体の色彩がくすんでいて、灰色がかっており、ねっとりとした閉塞感が漂っています。そして、自分のキャリアを最優先するいやーな人間の思惑や保身のためのせめぎ合い、弱い存在への罪の押し付けが描かれていきます。
そんななかだからこそ、体制に盾をついてでも真相を明らかにしようとする主人公の姿は本当に際立ってかっこいいんです!

記者クラブを前にして、処分覚悟で交通事件の実名公開に踏み切ったシーンでは、彼の信念の強さに圧倒され、感動して泣きそうになりました。

広報室のメンバー、そして、妻、64をともに担当した仲間たちも個性的でいい味だしてますよ。
だけど、この中にとてつもない裏切り者がいるのでは?なんて勘ぐったりするのもまた楽しかったです。

ただそこに立っているだけでも

幸田役の吉岡秀隆が出てきた瞬間の、「この人犯人ぽい」の感がすさまじかったです。
ただ画面の端で立ってるだけでも、彼の醸し出す底知れぬ闇がそこからうわーっと滲み出してきてる気がします。
実際に後編で彼がどうなるのかわかりませんが、ただただ雰囲気がすごいなぁと。

ケージブ? ケームブ?

その作品の世界をわかろうとするために一生懸命に脳が働く感覚、スクリーンのなかの人物や物事が徐々に繋がって脳に入ってくる感覚が好きなんです。
なので、先に書いた程度のあらすじさえ全く知らぬまま、劇場に行くようにしています。

しかし!今回に限ってはそれは止めておけばよかった……。

なぜなら、「刑事部」や「警務部」、「調査官」などというよくわからない単語が作品冒頭から頻出するのです。そして、それらが指す警察組織内部の構造と関係性、人間模様こそが、この作品の軸となる部分なんですよね。

さらに、登場人物がたくさんいます。それぞれの初登場シーンで豪華な俳優陣に目を奪われて油断すると、名前も覚えられない…。
もともと名前と顔を覚えるのが苦手な自分は、全然だめでした。
ただ、「広報官!」の連呼が異常に耳に残っています。
ふたわたりさんは調査官、ひよしさんは当時のロクヨン自宅班メンバーだと気がつくのは中盤を過ぎたあたりだったでしょうか。

鑑賞後に寄った書店に人物相関図が貼ってあったので、そこでようやく名前と組織内部の関係性を理解することができました。
先に分かっていれば、物語をもっと面白く鑑賞できていたはず!公式の相関図を改めて見て、今またそう感じております…。

本作はあまーい要素一切なしの重厚な警察ものですが、女性でも十分楽しめます。

公開から1週間後の14日夕方。東京・日本橋シネコンでは、「64」前編の観客の約6割が女性で占められていた。年齢層も「大半が中高年」という当初の予想を覆し、若い世代が目立つ。老若男女、年齢層も幅広く、大人の見るべき映画、大人の鑑賞に堪えうる作品という評価が急速に広まっている。

毎日新聞2016年5月29日 東京朝刊より(http://mainichi.jp/articles/20160529/ddm/010/200/004000c

だからこそ、女性で警察ものに馴染みの薄い方は特に、鑑賞前に相関図だけは目を通しておいてもいいかもしれません。

あれ?私の目がおかしい?

娘役の芳根京子が美人だし、その父親役は佐藤浩市なので、自分がブスなのはお父さんのせい!と父親を恨んでいる様子には少しぽかんとなりました。
そしたら、私たちのようなふっつうの人たちはどうなるんでしょうか。
娘役の方を、頑張って「野暮ったくて地味な暗い子?」に見せようとしてるように感じましたが、やはりそんな風には見えないんです。私の目がおかしいのかな?と一瞬思いましたが、そんなことない。彼女、美人なんですもん。隠しきれてない気がします。
これは「野ブタをプロデュース」の堀北真希(プロデュース前の野ブタ)にも感じた気がします。

(懐かしさを込めて貼っておきますね。野ブタ。をプロデュース|日本テレビ

そして、この謎の「ブスの遺伝」の主張以外に、父親へ恨みを抱いている理由がよくわかりませんでした。
「いつも自分のことばかり」みたいなことを言っていましたが、それはどういったことで、どう彼女を傷つけ、親子の間に溝を作ったのでしょうか。
後編で描かれていることに期待します。

こんなときに観たい

仕事へのやる気があるときに観ると、「もっと一生懸命頑張るぞーーーー!!」と給油効果がもたらされそうです。


後編は6月11日(土)に公開です!ああ待ち遠しい。

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