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libra05's blog

映画を中心に、好きなものについて自由気ままに書いています

映画 I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE--「みんな、だれかのだいじ。」

映画:ファミリー 映画:コメディー

先日、自転車に乗せられ、運転している母親に一生懸命話しかける女の子を見かけました。
自分に背中を向けている母親に向かって、身振り手振りを交えて話をしています。
横断歩道で信号待ちの私たちは、その愛らしい声に、つい耳を傾けます。

夕焼けに照らされた小さな背中。小学校に上がったばかりでしょうか、被っている帽子の黄色が鮮やかに映えます。
そのとき、空の天井のような、ずっと奥の方で、飛行機がまっすぐに飛んで行くのが見えました。

女の子は「ねえ!ねえ!おかあさん!」とその白いシルエットを指差します。

「おかあさん!」
「なあに」
「あのひこうき、だれがうごかしてるの?」
「それはね、大人の人」

そうだそうだ。その場で聞いたみんながこれを気にも留めず、そう思ったでしょう。

でも、このあと間もなく、青信号になり颯爽と走り去る自転車を、さらに優しい気持ちで見つめることになります。なぜなら、女の子がお母さんにさらにある一言を言ったからなんです。

なんて言ったと思いますか? その女の子は、こう言ったのです。



「おとなのひとじゃないでしょ。だれかのおとうさんでしょ。」



はっとしました。私がどんなに時間をかけてもこの答えは思い浮かぶことはなかったと思います。

横断歩道を歩き始めた無数の背中はどれも誰かのお父さんやお母さん、そして子ども・・・。


こんなふうに、こどもが持つ「眼差し」に触れるたびに、目の前にある同じものを違う世界から見ていることに驚き、とても嬉しくなります。
そして、きっと失ってしまったに違いないものへの強い憧れを感じてしまいます。


さてさて。
今回は、そんなこどもたちだけが登場する作品を紹介したいと思います。

それがこちらです!

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映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』オフィシャルサイト| 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント

  • 2015年/アメリカ
  • 1時間 33分




ざっとあらすじ

優しい性格のチャーリー・ブラウン。彼は、転校生である赤毛の少女に一目惚れをした!
ドジでいつもヘマばかりの彼だが、親友のスヌーピーたちの力も借りて、彼女にかっこいい姿を見せるべく奮闘する。

こんなときに観たい

  • 疲れているとき
  • 元気がほしいとき
  • こどもの頃に戻りたいとき
  • 一生懸命に物語の内容を追わなくて済む作品をのんびり観たいとき
  • ホラー映画やスリル満点のアクション映画の連続鑑賞のあとに、ほっとしたいとき
  • アイスクリームなどのスイーツを食べているとき
  • 暑さが厳しい夏の日に


なお、基本的にはこども向けの作品です。
キャラクターが、理屈では説明できない行動をとることが多々あります。
このため、小さなこどもたちを目の前で見守る、という気分じゃない方には退屈かもしれません。

おすすめポイント

2.5D

作品はいわば「2.5D」。手描きの味わいを残しつつ、ハリーポッターのクィディッチよろしくな、精巧に描かれたシーンもあります。

両者の魅力を同時に楽しめるハイブリットな作品です。製作陣の技術力の高さとユニークな発想に、ただただ感服しました。

このタッチのおかげで、こどもの頃の懐かしさも最後まで感じられた気がします!

ひんやり

劇中の季節は雪が舞う冬!
アイスを食べながら観たら、身も心も心地よい涼しさを感じられそうです。


感想(ネタバレあります)

チャーリー・ブラウンを中心に、ピッチ・パーフェクト*1よりも数倍切れ味のある個性豊かなこどもたちが登場します(のちほど、キャラクターたちについて触れます)。

また、先生の声以外には、大人の姿はありません。
これは、大人が存在しないのではなく、「こどもの世界」を表しているのだそうです。

原作・アニメも見たことがなく、知りませんでした。実は全員死んでる、とかの怖い理由じゃなくてよかったぁ。

救いの手を差し伸べる存在である大人が出てこない分、こどもたちは彼ら自身だけの視点で物事を見つめ、大人には力を借りずに行動を起こしていきます。

物語の展開にも終始、こどもならではの感性が光っています。


I♡チャーリー・ブラウン

実際のタイトルとは異なり、本当に愛を感じた矛先はチャーリーブラウン(以下、「CB」)だったのでした。
心をわしづかみにしてくる愛すべき主人公がいる作品にまた*2出会えてよかったです。

♡な理由

愛が強すぎて取り留めもなく書いてしまいそう!……ですので、ここでは、有名なキャラクター3人との比較から、その魅力を紹介します。

1.CBとのび太

CBはお人好しだけどドジで失敗ばかり、クラスでも「またCBがやらかしたのね」と冷笑されてしまうキャラクター。
こんなキャラクターの代表格といえば、「ドラえもん」ののび太じゃないでしょうか。

しかし、CBの魅力はのび太のもつそれとは、まったく異なります。

まず、のび太ほどの適当さがありません。ここでいう「適当」は、ほどよく力を抜けるということ。
のび太はちゃんとサボれますが、CBは、何に対しても、手抜きもごまかしもできません。CBは不器用すぎるのです。

だから、かっこわるいミスやトラブルの原因は、スヌーピーをはじめ誰かにからかわれたものだったり、誰かを助けるために咄嗟に行動した結果だったりするんです。


そして、CBのそばには、ドラえもんのような存在や便利な道具はありません。
そんな環境でも、むしろ、率先して、誰かの頼れる相手になろうとします。

人間らしいのび太と比べると、少なくともこの作品においては、心の透明度が高すぎるCBがいかに常人離れしているのかを実感することができます。


2.CBとウォレス

犬と飼い主である人間のコンビ(しかも飼い主の髪が薄い)といえば、「ウォレスとグルミット*3です。
ここでは、飼い主のウォレスとCBを比較します。

ウォレスは発明家です。
手先が器用だし、明るく元気で「超」が付くほどの突き抜けたマイペース。(硬派でまじめなグルミットがいるからこそ、ではありますが。)
天才的な発想力をフル稼働させて、周囲の人やグルミットを巻き込み、問題を解決していきます。

彼は、努力家というより、THE天才型(家族の言葉を借りると、「野村」ではなく「長嶋」なんだそうです。)


一方、CBはというと、好きな赤毛の女の子のために、たった一人で「戦争と平和」をあっという間に読了し、感想文を書き上げます。
たいした文章じゃない、と本人は言っていたものの、その完成度の高さは、ライナスが驚くほどでした。

この驚き方には、ライナスがCBに抱く尊敬が表れています! ちなみに、ここ、微笑ましく大好きなシーンです。

このように、高い潜在能力を垣間見せるCBではありますが、このシーン以外では、能力というよりも努力で物語を展開させていきます。


さらに、その過程は驚くほど孤独なのです。
学芸会のための手品も、読書と同じように、誰かに助けを求めず、ひとりで黙々と練習しました。
なのに手品は披露できず、感想文は破けてしまうことも含め、その姿に、柴田理恵*4が止まりません…!

ギャップにきゅんとくる、なんて言いますが、「ぼくなんて」と卑下する姿と、練習中のストイックな姿の対比がまさにすごいギャップ。
エンジンがかかると無双状態のCBがなんとかっこいいこと……。


3.CBとブリジット・ジョーンズ

自分に自信がないし、へまばかりやってしまうけど、恋したら一直線!といえば、「ブリジット・ジョーンズの日記*5のブリジットじゃないでしょうか。

彼女とCBの間には、わかりやすい決定的な違いがあります。

それはずばり、CBには見る目がある!

一目ぼれだったにもかかわらず、赤毛の女の子は、ありのままのCBに好意を持ってくれる、本当にいい子だったんです。

好きな子に冷たくあしらわれ、振り回されるお話じゃなくてよかった。

印象的なシーン

書いても書いても足りないほど、愛すべきCB。最後に印象的なシーンをあげて、彼についての項目を終えたいと思います。

それは、学芸会でみんなの笑いものになっている妹の姿を見たCBが、必死に練習してきた手品の披露を諦めて、彼女を助けに行くシーンです。

彼は牛の格好をして、自分がカウガールの妹から縄をかけられるように演出します。CBのこの機転のおかげで、会場は大盛り上がり。
その歓声のなかで、妹がこっそり、「ありがとう」と言うんです。

そして、このときの兄弟の微笑みが、牛の被り物ごしに見える演出、これが本当にあたたかく、ぐっと染みるのです!!

それはまるで、手先が凍えるような冬の寒い日に、ほかほかのコーンポタージュが口に広がるような、そんなあたたかさ。

これを見るためだけにもう一度レンタルしてもいいくらい、一番お気に入りのシーンになりました。


親友じゃなくて…

スヌーピーとCBは親友じゃなくて、兄弟のようでした。
片思い中のCBが描かれる途中に、空想のなかでレッド・バロンとたたかい美女を救い出すスヌーピーの空想の様子が描かれます。


CBが赤毛の女の子に出会うと、スヌーピーも空想の中で美女に出会う。
CBが落ち込むと、スヌーピーも空想の中で失敗し、落ち込む。


CBの喜怒哀楽に追従し、同じ感情を味わっているんですね。とにかくお兄ちゃんになんでもくっついていく小さな弟のよう。
私自身、兄弟の末っ子ですので、このスヌーピーの気持ち、痛いほどよくわかるんですよね。いつでも、なんでも真似したいんです。

ただ、CBの片思いのシーンと空想のシーンがうまく溶け込まず、空想シーンはまるで長めのCMのようで、CBの物語の続きを早く観たいなあと思ってしまいました。

たしかにスヌーピーはかわいいけど、ここの空想シーンはがっつりなくてもよかったなぁと思っています。


切れ味抜群のピュア

登場するキャラクターはどの子もピュアで、態度も言葉もオブラートに包みません。
学校のみんなは、CBを「ダメなやつ」と笑ったかと思えば、テストで満点を取ると、次は「英雄!」「天才!」と一気に憧れたりもします。

とにかく正直すぎて、それ自体は綺麗なのですが、今にも落ちてきそうな、ぐらぐらしたつららの下をCBが歩いているような、そんな危うさを感じてしまいます。

クラスメイトの切れ味にCBが傷ついてしまわないかとドキドキさせられました。
こどもたちのことは現実的に描いている作品なんですね。

こう考えると、気を抜いて観ることができるスヌーピーの空想シーンがあってよかった気がします。


そして、そんな描き方だからこそ、赤毛の女の子が、嘘や同情なしに、CBに好感を持ってくれたことがわかり、嬉しかったです。


一発逆転は?

CBは十分過ぎるくらいかっこよく、いい子です。

でも、そうだとわかっていても、ありのままを赤毛の少女が受け入れているとしても、ラストにCBのかっこいいシーンを観たかった。

やっぱり、クラスのみんなをぎゃふんと言わせてほしかった。

再び「ドジでだめなCB」になったあとに、つい一発逆転を期待してしまいました。
それまでの描写に比べると、ラストはやや、早足になってしまった印象があります。


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*1:前回、このブログで取り上げました。お醤油系ミュージカル映画です。 libra05.hatenablog.com

*2:CBに対するのと同じように、母モードで主人公を鑑賞した作品がこちら。 libra05.hatenablog.com

*3:シリーズはどれも面白いのですが、一番のお気に入りであるこれは5回ほど鑑賞してます。これを書いているとまた観たくなってきました…! movies.yahoo.co.jp

*4:↑注2「母モード」と同じ意味です。

*5:続編である3作目の情報が明らかになりました。 www.cinematoday.jp